JRA育成馬展示会を実施しました(宮崎)

前回の育成馬日誌(宮崎)でお知らせしたとおり、324日(月)13時から、JRA育成馬展示会を開催しました。

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「比較展示」の様子。写真のインディペンデンスの06(父シルバーチャーム)には多くの人の注目が集まりました。

前日1日中降り続いた雨もあがって快晴となり、絶好の日和の中、馬主・調教師・生産者の方々およびファンの皆様で約200名のご来場をいただきました。中には北海道の馬産地から足を運んでいただいた方も少なくはなく、大変感謝しております。

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比較展示は芝生の上で内向きに3頭×2列で実施しました。

まずは2歳育成馬全24頭を間近でご覧いただく「比較展示」からスタートです。本年の展示では例年の8頭×3組展示から、6頭×4組展示に変更してみました。これは限られた展示エリアの中で、近くの他馬を気にせずに、一頭一頭ゆったりご覧いただけるようにとの考えからです。結果として大変スムーズに運んだのですが、事前には近くに他馬がいないことで、馬が寂しがるのではとの危惧もありました。事前に何度となく、展示の練習を繰り返したこともよかったと思いますが、大勢の人に囲まれると意外に馬は大人しくできるようにも思われます。

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「調教供覧」前のウォーミングアップを内馬場(500mコース)で実施します。先頭はアドラーの06(父アグネスタキオン)、右後はミスバンダムの06(父サニングデール)。

続いての「調教供覧」では、現時点で十分な調教をお見せできる(怪我、病気の2頭を除く)全22頭を供覧しました。

昨年までも全頭みたいといったご要望を多くいただいていましたので、昨年までの倍近い頭数を、2鞍に分けて供覧させていただきましたが、多くのお客様に遅くまでご覧いただき感謝しております。

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調教供覧の様子。左はラベンダーノートの06(父ジェニュイン)、右がラブイズトゥルーの06(父スペシャルウィーク)。ラスト2ハロンを15.0-12.4

 

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押えきれない手ごたえの左ローズレディの06(父クロフネ)と、右メガミグリーンの06(父マヤノトップガン)。ラスト2ハロンを14.0-12.0。

宮崎はなんといいましても、気候が温暖で、快晴日数が全国でもトップクラスです。放牧地はエバーグリーンで、牧草は年間を通じて採食することができますので、特に冬季の競走馬育成に好適な地であることは間違いありません。

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騎乗後はグラスピッキングを実施。リラックスした雰囲気の中、多くの関係者の方が青々とした放牧地まで足を運んでくださいました。

宮崎育成牧場では、大きな舞台で活躍できる馬を輩出する夢をもっています。そして、夢を夢で終わらせないために、JRA育成馬厩舎をビッグ・ドリーム・ステイブル(Big Dream Stables)と名づけ、その夢に向かってステップアップしていこうとしています。

今後育成馬の調教は、420日の中山競馬場への出発まで、火曜を除く毎日実施されます。馬主・調教師・生産者等関係者の皆様にはいつでもご来場いただきたくお待ちしております。

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育成馬厩舎入り口にあるBig Dream Stablesの石碑と、満開の花をつけたタムロチェリー号(当場育成のGⅠ勝馬)記念植樹のサクランボ。

宮崎へJRA育成馬を見に来てください(宮崎)

2008 JRAブリーズアップセール428日・中山競馬場)に上場予定の2歳馬に興味をお持ちの馬主・調教師・生産者等関係者の皆様、宮崎まで育成馬を見にいらっしゃいませんか?。宮崎育成牧場では324日(月)13時~15時、現在育成・調教中の24頭の2歳育成馬の展示会を開催いたします。この展示会では全24頭を間近でご覧いただく「比較展示」および約12頭の調教をご覧いただく「調教供覧」を実施します。また15時すぎより17時頃まで他馬の調教供覧(12頭程度)、およびご要望の馬の自由展示も実施しますので、お時間の許す方はこちらも是非ご覧下さい。なお、展示会はファンの皆様にもご覧いただけますが、一部ご入場いただけないエリアもありますことをご了承願います。

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「比較展示」の様子(昨年の展示会)

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「調教供覧」の様子(昨年の展示会)

JRA育成馬の購買を検討されている馬主・調教師等関係者の皆様は、324日以外の日でもご覧いただけます。事前に宮崎育成牧場(電話0985-25-3448)まで連絡をいただけると幸いです。通常調教は8時~11時頃、馬の展示はそれ以降の時間にご覧いただけますが、火曜日は休馬日、また420日以降はブリーズアップセールに向けて全馬中山競馬場に移動します。

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スタッフ一同、ご来場をお待ちしております。

それでは初めていらっしゃる方のために簡単に道のりをご案内します。

本州からのご来場はなんといっても飛行機の利用が便利です。宮崎空港には羽田から16便、伊丹から11便、名古屋(中部)から3便、広島から1便が毎日運航しています。空港から宮崎育成牧場まではタクシーで約25分の近さです。昔のなごりでタクシーには「宮崎競馬場」と伝えた方がとおりがいいようです。

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育成牧場は宮崎の中心街より車で7分程度の位置です。一周1,600mのメイントラックの内側には500mのショートトラック、放牧地、採草地などがあります。

また、育成牧場から徒歩3分の位置にある宮崎神宮駅には、宮崎空港駅から電車で1530分・340円で到着できます。ただしこれは本数がかなり少ないので、宮崎空港からバスで宮崎駅(25分・400円)→タクシーで宮崎育成牧場(7分程度・約1000円)といったルートが現実的かと思われます。

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厩舎の間近を電車が頻繁に通ります。

さて調教の近況ですが、3月初旬現在、週2回、1000m1,100mのインターバルをおいたスピード調教を実施しています。それぞれ最後の3ハロンを19秒、17秒の指示ですが、ほとんどの馬が楽にタイムを出せています。

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馬は左がアドラーの06(父:アグネスタキオン、母父:Nureyevという期待の良血馬です)、右はナガラフラッシュの06(父:マンハッタンカフェ、母は重賞2勝馬。柔軟性に富む馬体です。)

馬をみていただくためのポイント(引き馬)(宮崎)

南国・宮崎もさすがに2月には朝・夕冷え込む日があります。先日も雨が降った翌朝に気温が氷点下まで下がったため、馬道が凍結する事態になりました。しかしこれはめったにみられることではなく、ある意味貴重な状況でした。

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7時 ハローを掛けても、砂は硬く固まったままです。

しかしさらにハロー掛けを行うと、気温が上がってきたこともあり、午前8時すぎには固まりも融け、十分調教できるまでに回復しました。やはり日中は「暖かい」と感じられる日が多く、さすがにプロ野球キャンプ地のメッカです(ホークスのキャンプ地「アイビースタジアム」までは、当場から車で15分程度です)。

ですから採草地の牧草も、年中青々とした状態を保っています。JRA育成馬たちは放牧中もこの青草を採食しますが、宮崎育成牧場では毎日この新鮮な青草を刈り取り、馬房の中でも十分に給与しています。他の生産・育成地ではなかなか得がたい宮崎での育成のメリットであると思います。

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青々としたイタリアンライグラスの採草地の奥を、常歩運動しているJRA育成馬達がみえますでしょうか?

それでは本題の「馬をみていただくためのポイント」にいきましょう。今回は引き馬展示についてです。馬を引いてみせる時は、常歩、速歩ともキビキビと歩かせることが重要です。

JRA宮崎育成牧場・日高育成牧場では、次のような手順で行うこととしています。

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  引き馬展示の手順 ①~④

①検査者には、馬の左を向けて立たせる。

②検査者から常歩で遠ざかり、右回りで回転して真っ直ぐ検査者に向かって戻る。

③右回りでおにぎり形に速歩。

④馬の右を向けて立たせる。

この方法であれば、検査する方が動かなくとも、馬全体を観察することができます。なお、速歩検査では、馬の頭頚の動きを阻害しないように、引き綱は少し長めに持つのがいいでしょう。ただしこの速歩検査は事前に十分な練習が必要であり、簡単なものではありません。1歳の秋・冬以降であれば、実際の調教での動きを確認することもできますが、それ以前の馬の場合、その闊達さや跛行を確認するにはこの方法が大変有効です。1歳夏に育成馬を購買するJRAでもこの検査を大変重要視しています。

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常歩・速歩とも右回りで回転させます

常歩を要求されたときは、直線的に10m程度遠ざかり、右回りで回転して、検査者に向かって戻ってきます。右回りでの回転には、馬を制御しながら検査者に対して回転時の歩様を見やすくする意味があります。また、狭い廊下などで回転する際には、回転により壁にぶつかることなどで起こるケガを防止できます。

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右回りのコツ:内側に押しながら

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常歩・速歩とも検査者に肢の動きがよくみえるよう、真っ直ぐ戻ることが重要です。

馬をみていただくためのポイント(宮崎)

馬をみていただく際に、馬の保持者はどのような点に注意したらよいのでしょうか。まず、検査する方に馬をみていただく時は、動かないように左側を向けて、写真のように正しく立たせること。そしてタテガミは頚のラインを見せるために右側に寝かせることが基本中の基本です。

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 ヤナビの06さんもきちんとポーズをとっています。

また、馬を検査する方の動きに伴って保持者は位置を変化させる必要があります。その基本は検査者が馬を見渡せ、保持者から検査者の位置が確認でき、検査者にとって安全なポジションであることです。

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 駐立展示における保持者の位置の変化。例えば検査者が①の場所にいる時は、保持者は左手で手綱の根本を持ち検査者をみる(①の位置)。検査者が②の位置に動いたならば保持者は手綱の根本を右手に持ち変え検査者をみる(②の位置)。

また検査する方に馬を引いてみせる時は、常歩、速歩ともキビキビと歩かせることが重要です。そのポイントについては次回掲載いたします。

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 2月に入り1,600m馬場での調教は単走・併走を織り交ぜて、駈歩の総距離は3,100mまで、最後の2ハロンを21秒‐17秒ほどで実施しています。写真はモーリフェアリーの06(牡:父は新種牡馬プリサイスエンド)23日)

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 最後は調教中のおぼっちゃま?馬ヒロジュエルの06。放牧中とは一変した精悍な表情でやる気満々。

皆様にみて、触れていただける馬づくり(宮崎)

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 突然ですが、宮崎イチの美女育成馬?ヤナビの06さん(父は新種牡馬ネオユニヴァース)からの問題です。「私は昨年のセリで買ってもらった中で、最もフツーの育成馬です。それはなぜかしら?

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 一方、宮崎イチのおぼっちゃま馬?ヒロジュエルの06くん(父はフサイチコンコルド)もなにか言ってます。「ホントは僕、宮崎で一番フツーの育成馬なんだよ」。

決してフツーとは思えない派手顔のこの二人、いったい何をいってるんでしょうか?

正解は「セリで購買したとき(1歳時)の価格」なんです。

日本では年間約8,000頭近いサラブレッドが生産されますが、そのうちの約1,000頭近くが1歳市場(セリ)で売却されます。この頭数は当歳市場(約350頭)や2歳市場(約200頭)よりずっと多く、宮崎の育成馬達もみんな昨年の1歳市場で売却された(といいますかJRAが購買した)馬なのです。

ヤナビの06さんをJRAが購買した価格こそ、ほぼ昨年の全国1歳市場での平均取引価格(約824万円)にあたるのです。ちなみにJRAが昨年購買し宮崎にやってきた馬達に限ると、その平均価格はちょっと割安でほぼヒロジュエルの06くん購買価格(683万円)にあたるというわけです。

この購買時価格はJRA育成馬の個別情報の一部なのですが、これ以外にもJRAでは皆様に育成馬をよく知っていただくための資料として、体の大きさ(体重や体高など)、調教実施状況、病歴およびくせなどを育成馬個体情報として開示しています。育成馬の価格は超高級車並ですから、車でいうパンフレットにあたるこれらの情報発信はますます充実させていきたいと考えています。

一方でパンフレットだけではなく、「自分はこんな馬ですよ」と実物を見て、触れて、ご納得いただける馬であることも重要です。すぐに暴れる、蹴るまたは触れさせないようでは、大きなマイナスポイントとなるわけです。現在行っている「調教」には、運動能力の向上のみならず、精神的な成長を促すことも含まれており、多くの皆様にみて、触れていただける馬づくりはその一部です。みて、触れていただくにはそのような状況をつくり練習していくことになります。人と馬とが信頼しあいながら、時間をかけて、繰り返し繰り返し実施することが大切です。

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駈歩調教後のクーリングダウン。324日の育成馬展示会にむけ、展示会場予定地である旧宮崎競馬場一等馬見所(スタンド)にはじめてやってきました(27日撮影)。

南国宮崎にやってきました!(宮崎)

今回から育成馬日誌(宮崎)を担当することとなりました。これまで様々の場面でお世話になってきた師匠(と呼ばせていただきます)の後任は重責ですが、このブログについては育成馬のこと、宮崎のことを楽しく広範に書き連ねていきたいと思います。

ところで当宮崎育成牧場の業務の柱は、年が明け2歳となったJRA育成馬たちを、4月、5月のセールに向けて仕上げていき、その過程で得られた様々の知見や成果を民間に普及することにあります。そのためには当たり前ですが多くの時間馬をみて、馬に触れてその変化を感じ取ることが重要です。私はこれまで5年間のデスクワークを楽しく過ごしすぎたため?か、不摂生ですっかり体がなまってしまいました。来年のダービー・オークスを目指し日々鍛錬中の育成馬とともに、私も体力を向上させていく必要がありそうです。がんばっていきますので、どうぞよろしくお願いします。

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112日の朝、宮崎育成牧場に虹のアーチ。この後気温がぐんぐん上昇して・・・・

さて、みちのく出身の私にとって九州地区に勤務するのははじめてです。こちらにきて、まず驚かされたのが、その想定外の温かさ(時には暑いほど)でした。 

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上の図は、私の勤務がスタートした19日から一週間の最高気温の推移です。この間の宮崎の最高気温は平均でなんと15!!。東京との差は5.5度、みちのくとは15度以上の差があります。そんなことは天気予報をみていれば誰でも知ってるよ、といわれそうですが、実際それぞれの地に住んでみると新鮮な驚きがありますよ。多分。

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12日の気温は23℃にまで上昇し、半そで姿で騎乗です。左から大きなストライドが魅力のシフォンケーキの06、ダイナミックな走りのラブイズトゥルーの06、期待の良血馬アドラーの06は額にハート型の星(白斑)があるんです。そして右端は新種牡馬シルバーチャーム期待の産駒インディペンデンスの06

もちろん寒い地方にはスキーにスケート、雪自体の美しさやワカサギの穴釣り、そしてなんといっても春が訪れたことへの感激、なんて色々楽しみもあるわけですが、しばらくはこの温かさに感謝しつつ、また新たな発見があるはずの宮崎の地を楽しみたいと思います。

併走での調教(宮崎)

明けましておめでとうございます。年が明けて、馬たちも、入厩したときよりも随分たくましくなってきたように感じます。現在は、500m馬場で準備運動(速歩1000m、駈歩1000m)後、1600m馬場で1000m1400mの距離をF22F20程度のスピードで調教しています。あまりスピードが遅すぎると馬が遊ぶので、遊ばないように徐々にベースとなるスピードを上げてしっかりと走ることを覚えさせています。また、12月から500m馬場での準備運動は併走で実施しています。一般に、併走での調教は2頭がお互いに走りたい気持ちを高めて走るスピード調教において実施します。しかし、この準備運動での併走運動は、競って速く走らせるというよりも、2列縦隊の状態で調教することで、馬を前後左右に他の馬がいることに慣らすことを目的としています。騎乗者も前と横の馬を意識しながら騎乗する必要があるので、より、馬をコントロールすることができます。また、500m馬場で同じ併走パートナーに慣らしていると、1600m馬場でスピード調教を実施する際にも安心して馬同士を近づけて走らせることが出来る効果もあります。競馬は集団で走ることが要求されるので、そのエッセンスを分解したトレーニングが縦列や併走による調教であると思います。

JRA人事異動により、私がこの育成馬日誌を書くのは今回で最後になりました。次回からは私の後任が引き継ぎますので、どうぞよろしくお願いいたします。

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500m馬場での牝馬の準備運動風景です。リードホースを先頭につけて併走で実施しています。(126日)

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脚浴場の通過に慣らしています。ひざから下が水につかるまで徐々に水を増やし、調教後に肢についた砂を洗い落とし、肢を冷やすことができます。後ろはミスバンダムの06(牡・父サニングデール)。(1220日)

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この日はハートレートモニターを装着してⅤ200を測定しました。内(向かって右)がオグラテスコの06(牝・父キッケンクリス)、外(向かって左)がローズレディの06(牝・父クロフネ)。(1227日)

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(向かって右)アドラーの06(牡・父アグネスタキオン)、外(向かって左)はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(1227日)

まっすぐに走ること(宮崎)

9月中旬に騎乗馴致を開始した第1(9)10月中旬に開始した第2群(13頭)は1130日から合流し、ようやく調教が軌道に乗り始めました。現在、牡および牝のロットに分けて、一列での隊列を組んでハッキングといわれるゆっくりとしたスピードのキャンターを実施しています。この時期には①前に進むこと②まっすぐ走ること③落ち着いて走ることの3つを馬に求めるようにしており、このことについては、1年前の日誌「集団での調教」で書かせていただきました。

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リードホースを先頭にキャンター調教を実施している第2群の牡馬です。リードホースの後はビショップリングの06(牡・父ナリタトップロード)。(1122日)

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1群と第2群合流しての調教です。このような縦列調教の中でまっすぐに走ることを教えていきます。先頭はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(121日)

まっすぐに走ることを要求するときに騎乗者が勘違いしやすいのが、馬の「口向き」を気にするあまりハミに対して左右別々に拳を強く使用することです。拳の操作が強すぎると馬の口を鈍感にするのみならず、馬が前に出ることができずに立ち上がる、後退する等の悪い癖を覚えやすいと思います。この時期の騎乗技術で重要なことは、騎乗バランスと脚の指示による前進気勢および柔らかい拳と考えています。手綱の持ち方はネックストラップに指をかけて、ダブルブリッジで保持することを私は好みます。若馬の筋肉は左右不均等に発達していて当たり前です。したがって、騎乗者が「口向き」を直すためには、長いスパンで馬の不均等な筋肉を左右均等に発育させることを意識することが重要です。例えば、調教時には両方の手前でトラック調教を行うことで左右均等な筋肉の発達を促し、また、縦列調教においてはリードホースの後ろをくっついて走ることで、まっすぐに走るための筋肉発達を促していくことができるものと考えています。競馬において正しく手前を換えることができる馬を教育することは、能力を発揮するために重要な要素のひとつと信じています。

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冬毛の伸びた馬についてはクリッピングを開始しました。クリッピングにはいろいろな毛の刈り方がありますが、体の上半分と四肢の毛を残すトレースクリップという方法を採用しています。馬はローズレディの06(牝・父クロフネ)。(1130日)

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1600mトラック内に高くそびえるパームツリーの下で朝日を浴びながらクーリングダウンを行っています。(1121日)

宮崎競馬100年記念式典を開催(宮崎)

明治40年に第1回宮崎競馬が、現在の宮崎育成牧場がある場所で開催されてから今年でちょうど100年になります。それを記念して1115日に地元周辺自治会長、宮崎県出身の調教師(池江調教師、野元調教師および小原調教師)、南九州育成業者、役所関係者、JRA役員および宮崎育成牧場歴代場長などが集まり、盛大に式典を開催しました。当日、式典の催し物として、育成馬10頭の展示および草競馬「宮崎チャンピオンステークス(Myz)」を実施しました。

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式典での鏡割り(もちろん焼酎!)の様子です。(1115日)

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育成馬10頭の展示を、昭和6年に建設された歴史あるスタンド前で実施しました。(1115日)

南九州では、草競馬が盛んに行われています。宮崎市の西にある美しい自然に恵まれた綾町で実施される「綾競馬」は114日に開催されましたが、2万人近い来場者で賑わいました。草競馬には軽種のレースのみならず、子供たちが参加するポニーレースもあります。子供たちの家で飼っているポニーを競馬に向けて仕上げ、多くの人たちが子供たちを応援すると同時に予想大会も楽しみ、町ぐるみで競馬をお祭りとして盛り上げるイベントが南九州に存続していくことは重要です。宮崎競馬場は宮崎育成牧場に変わりましたが、今後も多くの人に「競馬の原点」を楽しんでもらうため、「馬に親しむ日」等のイベントで草競馬を開催していきます。もちろん、宮崎育成牧場で刻んできた100年の歴史の重みを感じ、競走馬の育成業務に対しても益々励んでまいりたいと思っています。

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本格的な草競馬「宮崎チャンピオンS」は6頭立てで実施され、徳重推幸氏所有のアイラ号が、エイシンクッシング号を見事差しきり、優勝しました。写真は優勝したアイラ号と関係者。(1115日)。

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2群も順調に調教が進んでいます。500m馬場で速歩を実施している牡のストリング(隊列)です。先頭はヒロジュエルの06(牡・父フサイチコンコルド)。1118日現在、第2群は500m馬場でゆっくりしたキャンターを1000m実施しており、11月下旬から1600m馬場でのキャンターを開始し、先に馴致を開始した第1群と合流していく予定です。(118日)

冬毛の悩み(宮崎)

宮崎では、日中はまだ暑い日が続いています。10月は最高気温が25℃以上あった日が19日間(31日間すべて20℃以上)ありました(北海道の夏とたいして変わりません)。このように宮崎は暖かいので、馬も冬毛があまり伸びないと思っておられる方も多いと思います。しかし、この時期の馬体管理をしっかり行わないと、場合によっては北海道よりも冬毛が伸びることも多々見られるのです。その原因として、①10月中旬まで夜間放牧を実施していること、②日中暑いのですが、馬体を洗うと乾くまでに馬房内で馬体が冷えること、③暑さ対応の厩舎構造となっており、馬房内があまり暖かくないことがあげられると思います。夜間放牧を行うと毛が伸びて皮膚は厚くなるのは自然な馬の反応で、馬にとって決して悪いことではありません。しかし、暖かい宮崎では、冬毛が伸びるとトレーニング中に必要以上に汗をかくことになり、馬にとってストレスとなることが私たちは気になるのです。また、見栄えも良くないので、騎乗馴致を開始した時点からは競走馬と同様に皮膚が薄くなるように馬体管理するように心がけています。具体的には、①馴致開始とともに夜間放牧の終了、②丸洗い後のクーラーラグ着用、③夜間のサマーシーツ(薄手の馬服)着用および④騎乗時に馬体を暖かく保つために薄手のエクセサイズシーツ着用などを行っています。しかし、それでも冬毛が伸びてしまったら、バリカンで冬毛を短く刈るクリッピングも実施します。もちろん、その際には馬服を重ね着するなど通常よりも暖かく保つ必要があります。近年、北海道でもライトコントロール法と呼ばれる馬体管理を育成馬に対しても実施することで、4月に宮崎の馬以上に換毛を促進する技術も開発されてきました。宮崎育成牧場の私たちは危機感を感じています。今まで、何もしなくても春になれば、自然に冬毛が抜けて馬の見栄えが良かったのですが、今後は、春に馬体の見栄えをよくするためには、秋のこの時期から今まで以上に人が手をかける必要性を強く感じています。

 

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左は午後に馬体を洗った後にクーラーラグを着用しているところです。馬はメガミグリーンの06(牝・父マヤノトップガン)。また、右は夕方の手入れ時にクーラーを脱がしてサマーシーツを着用しています。馬はヒロジュエルの06(牡・父フサイチコンコルド)。(111日)

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調教後のクーリングダウンの風景です。人はまだ半袖ですが、馬はエクセサイズシーツを着用しています。先頭からモーリフェアリーの06(牡・父プリサイスエンド)、インディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(1028日)

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920日に騎乗馴致を開始した第1群は、現在、500mトラックを3周(1500m)、ゆっくりしたキャンターで縦列調教を行っています。先頭はアドラーの06(牡・父アグネスタキオン)。(1031日)

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2群も1018日から騎乗馴致を開始しています。杉林の間をドライビングしているのはシフォンケーキの06(牡・父タイキシャトル)です。(112日)

ドライビング~騎乗まで(宮崎)

1本レーンでのランジングを教え、ローラー(腹帯)を装着することが可能になった馬は、次のステップとして、2本のレーン(ダブルレーン)を用いてのランジングを教えていきます。その際、2本目のレーンを馬の外側面に回して後肢(飛節の上)の後にまわし、御者が両手で保持して実施します。後肢にレーンが触れた際に、敏感な馬では蹴る等の反抗を示すこともありますが、根気よく馬を慣らします。

2本レーンでのランジングに慣れた後、馬の後方に人が移動し、馬を後方から動かすドライビングを教えていきます。最初はラウンドペンの中で実施し、ドライビングで方向変換等を行うことから始めます。ドライビングに慣れてきたら、ラウンドペンの外に出て今後騎乗する場所等、様々な場所をドライビングで歩かせ、馬の前進気勢と口向きを作っていきます。

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ブレーキングを開始して6日目。ローラーおよびサイドレーンを装着し、ダブルレーンでのランジングを行っています。サイドレーンはキ甲をクロスして装着しており、頭頸の位置を安定させています。馬はディマーの06(牝・父アラムシャー)。(928日)

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ラウンドペンの中でドライビングを行いながら右方向に方向変換を行っています。馬はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(104日)

ドライビングが確実に出来るようになった後、騎乗のステージへと進んでいきます。騎乗は、数日かけて馬の横でジャンプをしたり、背中に体重をかけたりして騎乗動作や体重負荷に慣らした後、馬房の中で実施します。騎乗者が脚を使って馬を動かせることができるようになったら、少し広いラウンドペンの中で騎乗し、やがて走路での騎乗が可能となります。

馴致を開始して2週間から3週間で騎乗することが可能となるわけですが、このように短期間で進められるのも、近年、コンサイナーがセリ前に引き運動を十分行う等、手をかけるようになってきたことが大きいと思います。セリにおいて、美しくプレゼンテーションされ、活発に大きく歩く馬は多くの購買者の目を引くことにつながります。したがって、セリの23ヶ月前に生産牧場からコンサイナーに預けられた1歳馬は、引き運動で人の指示に従って活発に歩くことが出来るように、また、購買者の前で暴れたりせず大人しく立っていることを教育されています。この中で、人と馬との信頼関係と人のリーダーシップの基礎が形づくられ、環境が変わったときの精神面安定や騎乗馴致時の理解力向上に役立っているのだと思います。

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体重負荷に慣らすための「横乗り」を行っています。馬はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(105日)

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馬にとって、生まれて初めて人に騎乗された緊張の一瞬です。騎乗者は馬の様子を確認しながら、徐々に頭を上げようとしています。馬はミスバンダムの06(牡・父サニングデール)。(105日)

ランジングについて(宮崎)

まだ、日中は30℃前後の暑い日が続いていますが、さすがに朝夕は涼しく過ごし易くなってきたようです。馬たちも南国・宮崎の環境に慣れ、入厩したときよりも一回り成長し、ブレーキングを開始できる体格になってきました。宮崎では、7月に入厩した9頭(牡5・牝4)を第1群として920日から騎乗馴致を開始しました。

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騎乗馴致を開始する前のプレ馴致として引き運動を行っています。すでにコンサイナーがセリ馴致として教えているのですが、人との約束事を再確認し、また、群れで行動することで集団調教にも慣らしていきます。(917日)

まず、初日にはラウンドペン内で、馬を引いて壁際を歩くことに慣らすことから開始し、壁に沿って落ち着いてランジングでの速歩ができることまで要求します。

教えるにあたって、人が馬に与える「人から離れなさい・前に進みなさい」という人のプレッシャー(馬を推進するための声や鞭などを含むアクション)とラウンドペンの壁が馬に加える「これ以上、外には行けない」という壁のプレッシャーを上手にコントロールしながらラウンドペンの壁際を走ることを馬に教えます。人が馬に与えるプレッシャーが強ければ馬は慌てて走るために後肢で前肢を踏みかけたり、壁にぶつかったりすることに、弱ければ馬が内側に入ってくるということになります。馬は人の与えるプレッシャーに対して敏感に反応します。例えば、人が(ペン内で動いている)馬の真横に対面して、側面よりもお尻方向にずれれば、それだけで馬を前方に推進し、逆に人が馬の頭方向にずれると減速しようとします。したがって、そのようなプレッシャーと声のコマンドwalk, trot, standや、常歩!速歩!とまーれなどの号令)を同時に使用しながら、馬が上手にできたら、プレッシャーを解除し馬をほめることで理解させ、馬自ら前に進んで壁沿いを走ることを教えていきます。よくパブロフの犬に例えるのですが、人のアクションを伴った強いプレッシャーと同時に声のコマンドを使用することで、やがては音声の指示に置き換えて馬を動かすことができるようにするということです。この際、一度にたくさんのことを教えようとして馬の頭の中をコンフューズ(混乱)させないよう、シンプルに教えていくことが重要だと考えています。

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Day1、馬は初めての経験なのでどのように回っていいのか解らず、壁沿いを走らずに壁からのプレッシャー(矢印)を感じ、内に入ってこようとしています。馬はミスバンダムの06(父・サニングデール)(920日)

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Day1、御者が馬に対して近づき、さらに補助者が必要に応じて後方から推進を与えることで、馬を壁に沿って走らすことが可能となります。馬はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)(920日)

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Day3、ローラー(腹帯)を初めて装着したときの反応です。背を丸めながら跳ねて内に入ろうとする馬に対して、御者は馬に近づくことで外に行くようにプレッシャーを与え、同時に補助者が馬を前方に推進することで壁に沿って走らせます。馬はやがてローラーを受け入れ、落ち着きます。馬はアトラスマーカーの06(牝・父ティンバーカントリー)(922日)

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Day4、ローラーを装着して2日目です。吉本場長の見守る中、本日は頭頚の位置を安定させるためにサイドレーンを装着しました。馬はラブイズトゥルーの06(牡・父スペシャルウィーク)。(9